骨粗しょう症/骨塩定量

骨粗しょう症イメージ

骨がもろくなり、骨折リスクが高くなる疾患

骨粗しょう症は、老化などが原因となって骨の量が減少し、鬆(す)が入ったように骨がスカスカになり、もろくなって骨折リスクが高くなってしまう疾患です。

今日のわが国で「骨折・転倒」は、介護が必要になる原因のワースト5に入っていますので、要注意です。

女性に多い骨粗しょう症

患者さんの8割程度を女性が占めており、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下する更年期以降には、特に多く見られます。閉経して、女性ホルモンの分泌量が減少してきますと、骨吸収のスピードが速まるため、骨形成が追いつかず、骨がもろくなってしまうのです。そのため、閉経を迎える50歳前後から骨量は急激に減少し始め、70歳以上になると2人に1人が骨粗しょう症になっていると言われます。

骨粗しょう症の予防と治療

予防と治療には、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」があります。食生活や運動などの生活習慣を見直すことにより、予防と改善が可能です。

食事療法

骨粗しょう症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、および骨のリモデリング*に必要なビタミンD・Kなどです。

カルシウムは食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが推奨されています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。

骨粗しょう症の人が避けるべき食品は特にありませんが、リン(インスタント食品、スナック菓子、炭酸飲料、練り物などの加工食品に多く含まれます)やカフェイン、アルコールなどの摂り過ぎに注意しましょう。過ぎた量のアルコールは、カルシウムの吸収を妨げたり、尿からのカルシウム排泄量を増やしたりします。カフェインもまたカルシウムの排泄を促します。リンを摂り過ぎると、血液中のカルシウムとリンのバランスを保とうとして骨中のカルシウムが血液中に放出されてしまい、骨密度の減少を招きます。

※リモデリング:骨を壊す働きをする「破骨細胞」が骨を吸収する一方で、骨をつくる働きをする「骨芽細胞」が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨をつくる代謝作用のこと。

積極的に摂りたい栄養素を多く含む食品
カルシウム
牛乳、チーズ、干しえび、しらす、ひじき、わかさぎ、いわしの丸干し、えんどう豆、小松菜、モロヘイヤ など
たんぱく質
肉類、魚類、卵、乳製品、大豆 など
ビタミンD
アンコウの肝、しらす干し、いわしの丸干し、すじこ、鮭、うなぎの蒲焼き、きくらげ、煮干し、干し椎茸 など
ビタミンK
納豆、抹茶、パセリ、しそ、モロヘイヤ、しゅんぎく、おかひじき、小松菜、ほうれん草、菜の花、かいわれ大根、にら など
運動療法

骨は、運動をして負荷をかけることで増え、より丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが少なくなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗しょう症の治療に欠かせません。

骨量を増やすには、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの「中強度」の運動が効果的で、激しい運動をする必要はありません。散歩などを可能なら毎日、あるいは週に数回でも効果が出てきますので、とにかく長く続けてください。運動量を少しでも増やそうとする心がけが大切です。

薬物療法

病状が進んだケースでは、食事療法や運動療法に併せて薬物療法を開始します。現在、使われている薬には、骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」、骨の形成(新しい骨をつくる)を助ける「骨形成促進剤」、骨の栄養素である各種ビタミン(D、K)剤などがあります。また、腰や背中などに痛みがある場合は、痛みをとる薬も用いられます。どんな薬を選び、いつから治療を開始するかについては、個々の患者様の年齢や症状の進み具合などを考え合わせながら、医師が判断します。

骨塩定量

骨に含まれるカルシウムなどのミネラル成分の量を測定する検査で、骨粗しょう症や代謝性骨疾患の診断に役立ちます。また、骨の健康状態を数値化することにより、骨量の減少を早期に発見し、適切な予防や治療を行うことが可能になります。

骨密度測定によって得られる情報

  • 骨折を起こす前の骨減少症や骨粗しょう症の発見
  • 将来骨粗しょう症に罹患するリスクの予測
  • 定期的な測定による骨量減少速度(疾患の進行)の評価
  • 治療の有用性、もしくは無効性の証明(治療評価)